牛 の 話 ２（初 乳） 今日は初乳の話。 人間は、母親の胎内にいる時から血液交換が高度に行われているので、赤ちゃんは母親の免疫（抗体）をもらって生まれてくるといいますが、牛の場合は胎盤が人間ほど高級なものではなく、血液交換で免疫の受け渡しができません。つまり子牛は子宮の中での無菌の状態から、生まれてすぐに何の防御策も持たず（抗体がないまま）にこの雑菌の多い世界へと生まれて来ます。では、どのようにしてこの雑菌たちに打ち勝っていくのか？ それは、初乳といわれるお乳です。初乳には免疫（グロブリンというタンパク質です。）を多く含んでいます。つまり初乳を飲むことにより、子牛は母牛から免疫を受け取るのです。だから牧場の人たちは、生まれた子牛が乳を飲んでいるかとても気を使います。特に分娩後５〜６日しか初乳は出ませんので、この時期に十分な乳を飲ませることが元気な子牛を育てる第一歩なのです。 初乳には常乳の４〜５倍のタンパク質を含み、ミネラルは１０倍以上、脂肪は１．５倍も含んでいるそうです。また、初乳には通痢効果があり、子宮内でためた子牛の腸内の老廃物を排泄させる働きもあるそうです。 なんと母牛の初乳の働きはすごいのだろうと感心するのですが、子牛はもっとすごいのです。通常、動物は体内にタンパク質を吸収する時は、タンパク質をアミノ酸のような分子構造が小さい物に変えて吸収します。それは、多分大きな分子構造のものが吸収できると体内にいろいろな雑菌が入りやすくなるからだと思います。では初乳に含まれる抗体（タンパク質）を分解せずにどのように子牛はそれを吸収するか？なんと子牛はたった生まれたから２４時間だけ、大きな分子構造のタンパク質（抗体）をそのまま吸収できる能力があるのです。（免疫を最大限に吸収できるのは６時間だそうです。）初乳を飲む前に誤って、胃の中にばい菌が入り込むと抗体を持たない子牛はいっぺんにばい菌にやられてしまいます。子牛は生まれてくるときだけではなく、生まれてからも大きな試練を経ているのですね。 |
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 前日生まれた子牛。まだ目が見えないようです。人間が近づくと母牛と間違えることがあり、人間の後についてい来ることがあります。 |
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