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隠元の会「隠元の会」というのがある。１３年ほど前に結成された会で、まぁ一言で云うと酒飲みの集まりである。たまたま異動で職場が同じになった同年代の仲間が北アルプスの鑓温泉という秘湯に出向いたことからこの会が発足した。鑓温泉は駐車場から５時間以上も山道を歩かなければならない山中の温泉。１０月を過ぎると冬場に向け山小屋さえ解体されてしまう。そんな所へ酒やビールを持ち込み、温泉を楽しみながらテントで泥酔するまで酒を飲む。毎年飽きもせず、このような奇行を繰り返していた。　来年はこの会の主力メンバーの３人が５０歳である。先日、上京した折にメンバーと酒を飲んだところ、「５０歳の記念事業として、久しぶりに鑓温泉を目指そう。」ということになった。普通なら体力的に大丈夫だろうか？、仕事の都合はどうだろうか？等と考えるのであるが、酔った勢いもあり、「行こう、行こう」と云うことになった。　メンバーの一人が「明日から体力づくりをしなければ。」とつぶやく。鑓温泉までは２０キロ以上の荷物を担いで５時間以上も山道を歩かなければならない。新聞やテレビで「７０歳の誰かが何処何処の山を登った。」というニュースを見ても何の感化も受けないが、仲間の場合は違う。あいつが体力づくりをするというならば、俺もやろうという気になる。仲間が休肝日を作っていると言えば、自分もやれそうな気がするのだ。歳とともに日々の生活に流されてしまう傾向が強くなるのだが、「お前が頑張るなら、俺も頑張る。そして温泉でおいしい酒を飲もう。」というのが、「隠元の会」なのである。
秘湯鑓温泉。大きな湯船に源泉かけ流しの温泉が注がれる。
鑓温泉からの景色。こんな景色を見ながら入る露天風呂は最高。
前日の酒盛りで二日酔いの二人。それでも陽気である。