福 祉 施 設

　２２年間にわたって公務員をやってきて、一番強く感じたことは「悪いことをするのは、学歴や頭の良し悪しは、まったく関係がない。」という事である。頭が悪い人間だけが悪いことをし、頭の良い人間は悪いことをしないというのではなく、頭の悪い人間は悪いことをするとすぐに警察に捕まってしまうが、頭の良い人間は捕まらないように（つまり法に触れないように、あるいは分からないように）悪いことをするのである。金銭や地位に対する欲望の強弱は、頭の良し悪しに関係なくて、頭の悪い人間は安易な詐欺や窃盗を行って直ぐに警察に捕まってしまうが、頭の良い人間はきちんとした手続きをとり、法に乗っ取って悪いことをしていくのである。
　日本の国や県、市町村、その外郭団体が抱える借金というのは、とてつもない金額になっている。その合計金額は、国民一人当たりに直すと、何千万円にも上るのではないのだろうか。つまり私たち国民は、公共事業などの名目により知らず知らずのうちに多額の債務を背負わされている。頭の良い人たちは、自分達の収入を増やしより高い地位や名声を獲得するために、責任の所在も分からないように国民に借金を背負わせてきているのだ。借金があるということは、お金を貸している人がいるということで、つまり私たちはそのお金を貸すことが出来るような裕福な人たちのために、遠い将来にわたって、これまでの借金を税金という形で払っていかなければならないということである。

　このような思いがあって前の仕事を辞めた時、新しい仕事は定年退職が無く、また人に役立つような仕事をしたいと思っていたが、とある縁があって２ヶ月ほど前から知的障害者の為の福祉施設の立ち上げを手伝い始めた。屋久島には知的障害者の為の施設が無く、学校を卒業した人は働く場所がないので、自宅にこもり一人で寂しく過ごしているということである。この２ヶ月あまり福祉関係の文献を読み漁り、県に施設設置の要望書を提出したり、補助金のヒヤリングを受けたりしていた。そんな訳で一週間に２枚のペースで描いてきた絵もこの２ヶ月あまり休んでいた。
　機会があれば、知的障害者の現状や問題点等に今後触れて生きたいと思う。