郡　大　会

　半年前から、テニスを再開しました。きっかけは、上屋久町が主催している「上屋久スポーツクラブ」という、町民の健康増進を目的としたスポーツクラブです。年間会費が５,０００円です。種目は、硬式テニス、卓球、バトミントン、ジョギングなどがあります。このスポーツクラブに参加したことにより、今はママさんを主体としたグループにテニスを教えています。
　屋久島では年に一度、郡大会というスポーツ大会があります。熊毛郡の種子島・屋久島の１市４町が集まって、テニス、バスケット、バトミントン、陸上などの種目を競います。競技会場は、５市町の持ち回りで開催されているようですが、今年は種子島の南種子町で開催されました。メンバーが足りないということなので、この私にも参加依頼があり、種子島まで１泊２日で行ってきました。
　屋久島から種子島までは、町がフェリーをチャーターしそれに乗っていうきます。隣の種子島まで約１時間の航海です。種子島は、屋久島と地形がまったく違い、平坦な島です。丘陵地の間の平坦地では水田が所狭しと並んでおり、屋久島では見ることのできない景色でした。テニスコートが丘陵部の高い所に位置し、風が強く、日差しもきつかったこともあり、散々な目に会いました。
　私はもう４８歳になり、上屋久テニス協会の会長のＮさんから誘われたときは、今さらテニスの試合で船に乗ってしかも泊りがけで出かけるようなことは、「少々、面倒くさくていやだなぁ。」と思っておりました。それだけテニスにかける情熱が消えうせておりました。
　この会長のＮさんは、私と同じ歳なのですが、週に５日間もテニスをやっているという人で、ジュニアの育成や上屋久スポーツクラブでの指導を行ったりしており、テニスに対してとても情熱のある人です。種子島の出身の人で、昔は福岡県に住んでいたのですが、工場が屋久島に移転になり家族とともども移り住んだ人です。
　Ｎさんに「種子島は、温泉がないのですか？」と尋ねると、私の気持ちをすぐに組んでくれて、１日目の試合後に河内温泉に寄ってくれました。町営の施設で、無色透明の温泉なのですが、打たせ湯や寝湯、サウナ等が完備されており、しかも３００円と超破格な値段なのです。温泉好きな私は、そこで気持ち良く汗を流し、皆より一足先に風呂から上がり、いざ缶ビールを探すとビールの自動販売機がないのです。「何と非常識な温泉なんだ。非常識にもほどがある。」と思い、せっかくの湯上り気分が害されました。落胆の末に、ふと座敷の休憩所を覗くと、テーブルにジョッキがいくつか置いてあるではありませんか。温泉施設の隣に小さなプレハブがあり、そこで生ビールや軽食を販売していたのです。すっかり気分がよくなった私は、縁側に座り込み生ビールを堪能しました。
　翌日の試合後にも再び温泉に行きました。温泉から上がって再び生ビールを飲もうとすると「生ビール準備中」の看板。何と、売り切れだというのです。缶ビールの自動販売機も無い、生ビールも無い。「この私の高揚した気持ちをどうしてくれるのだ。」と憤慨無い思いでいたら、会長のＮさん、地元出身であることもあり、すぐに何軒かの酒屋に電話をしてくれ、生ビールを調達しくれたのです。この時、この人は私の山の仲間と同じ血が流れていると感じました。
　屋久島ではめったに飲み屋で酒を飲まないので、私はほとんど生ビールを飲む機会に恵まれません。だからビール好きの私にとって、この２日間は夢のような日でした。
　「来年もビールを飲みに、郡大会に行くぞ！！」