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      夫 婦 も の
                                    2013.11.30

 私が、紀伊半島を旅行していた時のことである。各地の名湯を転々として、名のある温泉は、お金(時間ではない)が許す限り入っていた。そんな温泉の中で、20年ほど前から、秘湯や旅行雑誌で紹介されていた紀伊半島の川湯温泉の仙人風呂に一度は入りたいと思っていた。川湯温泉は河原に温泉が湧くところで、夏場、瓦を掘って自作の露天風呂ができるという温泉である。そして、川の水量の関係で冬場((12月から)は川をせき止め、大きな露天風呂が設置される。
 登山の関係で露店風呂が出来上がる3日前に現地に到着してしまい、仕方なしに隣の湯の峰温泉で時間をつぶしいた時である。同じ場所に連泊すると、顔見知りができてしまう。
 大阪から当時に来ているという、齢はゆうに75歳は越えているだろうと思われる夫婦者が、同じ駐車場に車中泊で湯治に来ていた。入浴料250円の湯の峰温泉公衆浴場にはいて、ワンボックスカーの後ろに設置してある寝床で休む。 料理は、92度の熱湯がわく、源泉湯筒で料理をし、お湯を使ってお茶を飲む。ガスコンロなどの火器は、一切持ってきていないという。
 夫婦とも、とても話し好きで、運悪く公衆浴場の朝湯で一緒になった時など、話が止まらない。頭を洗っている時でさえ、話し続けるものだから頭を流したお湯が口に入り咳き込んでも話をやめないというすごさ。
 私が車から出るたびに、「また、温泉行くの?」とか「今日の夕食は何?」とか、すぐに言われてしまう。
 一人旅の続いていた、私にとっては、うれしい日でした。そして、75歳を過ぎてまで、旅行に出るパワーが私には残っているだろうかと、ふと心配になった。
 
 小さな温泉街。左手は、無料の駐車場。30代ぐらいは駐車可能である。
 

 
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