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歩 く こ と

旅行をしていて、感じることがある。自分の記憶のことだけど、車で移動しているときの記憶がほとんど残らないのに対して、歩いている時の記憶は残りやすいということである。風景、肌で感じたこと、思ったことなど。
 前に、歩き始めた子供は、その子供の歩く速さで散歩に連れていくと、脳がとても活性化せれ、脳の発達にとても良いということを聞いたことがある。車で連れて行ってもダメなのである。自分の目の前の光景がくるくると変わって、ついていけない。
 旅に出るまでは、目まぐるしい生活を送り、夜、その日のことさえ、思い出せないことがある。「今日は、何をやっていたんだっけ?」と、考え込んだりしてしまう。
 それが、不思議なもので、旅に出て40日以上もたっているのに、一枚の紙に書き起こすと、その日、何をしていたか思い出すことができる。40日の記憶が頭の中に繋がっているのである。
 記憶があいまいになっているのは、車を運転している時に見た景色や何かを買った時のこと。何処の景色だったが、何処での買い物風景だったか、記憶が定まらないし、薄れていくのが早い。
 それに比べて、山を登っている時の記憶は、心が躍っているせいもあるのだろうけど、薄れることがなく、あの山頂で人に会って何の話をしたとか、登山道の景色とか、鮮明に記憶に残っているのである。
 56歳となった今、これから脳の発達は、望むべきことではないけれど、ボケ防止にはとてもいいことなのかもしれないと感じている。自分のスピードでゆっくりと歩き、何かを感じたり、何かに興味を持ったら立ち止まって、じっくりとみる。歩くことは、ボケ防止に、本当にいいのではないだろうか。
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